2.包丁に気をつけて
ヤムチャに背を向けて天津飯が歩き出したちょうどその時、後ろから悲鳴が聞こえた。
「い、いってぇ!!」
「!?・・・どうしたヤムチャ!」
「ゆ、指切った・・・」
天津飯が振り返ると、辛うじてまな板は赤くなっていなかったが、ヤムチャの左人差し指は真っ赤だった。
玉葱&包丁の攻撃を受けて、ヤムチャはもう号泣状態である。
「指切ったって・・・お前なぁ」
「だ、だって〜涙で手元もよく見えなくて・・・」
「そんな目で高速切りしようとするからだ・・・ほら、近くに綺麗な川があるから・・・傷口を洗わないと」
子供みたいに泣いているヤムチャを連れて、天津飯は川まで来た。
澄んだ水がさらさらと流れていた。
「・・・っつ!・・・」
「・・・我慢しろ」
「・・・し、してるだろ!」
「・・・・・・ほら、血が止まるまで押さえてろ。玉葱の残りは俺が切るから」
ポンと手をヤムチャの頭にのせると、ヤムチャは素直にこくんと頷いた。
そして天津飯は、1.5倍の被害を受けつつも、無事に玉葱を切り、ヤムチャに教えて貰いながらカレーを作る事が出来た。
考えていた通りやたら料理に時間がかかり、二人は早めに始めて良かったと思った。
プーアルと餃子を呼び戻し、頑張って作ったカレーを食べる事にした。
「天さんとヤムチャさんで作ったの?」
「殆ど天津飯だよ。俺は玉葱を少し切って、後は作り方教えてただけ」
「ヤムチャ様!?そ、その指は・・・大丈夫ですか?」
ヤムチャの左人差し指を見たプーアルが、血相を変えて心配した。餃子も痛々しそうに見ている。
「あ、これは玉葱切ってる時にズバッと・・・な。まったく俺ったらドジだよなぁあはは」
茶化すようにヤムチャが笑うと、不意に餃子が近寄ってきた。
「僕、痛くなくなるおまじない知ってる!・・・痛いの痛いの〜飛んでっちゃえ!!」
よくあるおまじないを一生懸命にやる餃子が可愛くて、ヤムチャはどうやら親馬鹿スイッチでも入ったようだ。
「餃子は優しいなぁwwありがとうな、お陰で痛いの取れたよ♪良いおまじない知ってるんだな」
デレデレと餃子の頭を撫でると、餃子も嬉しそうに頬を赤くした。
「うん、昔はよくやってもらってたよ!天さんに」
「え・・・天津飯に?」
ついヤムチャもプーアルも、天津飯が餃子にやってあげてる所を想像し、思わず笑いそうになるのを堪えた。
「・・・おい・・・お前たち、失礼だぞ」
「あ・・・すみません」
「悪い悪い・・・お前にも可愛い所あるなぁと思って」
「・・・ったく///」
楽しい食事タイムもあっという間に終わり、空には綺麗な満月が光り輝いていた。
「さぁて、そろそろ寝るか?」
「四人で寝るのは久しぶりですね、ヤムチャ様」
「ああそ
うだな。ちょっと狭いけど、我慢してくれよな。どうも俺と天津飯が場所取っちゃって」
「うん、僕は大丈夫!」
「僕も大丈夫ですよ」
四人仲良く並んで寝転がると、ほんの少しだけ狭かったが、とても温かかった。
餃子とプーアルが寝付くと、二人の寝顔を見ながらヤムチャと天津飯は微笑んだ。
「・・・二人とも可愛いよな」
「あぁ・・・そうだな」
「じゃぁ俺たちも寝ようか」
「そうだな、おやすみ」
「おやすみ、天津飯」
にっこりと微笑んでプーアルに寄り添い目を閉じたヤムチャを見届けると、天津飯もまた餃子の隣で眠りについた。
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