心地良い風に吹かれている、草原の中。


若い男女二人が仲良く並んで座っていた。




その内の一人は長髪の黒髪をした、侍の男性。


一定の長さの所で髪の毛を縛っている。


もう一人は薄黄色の長い髪の、盗賊の少女。


後ろで長くした髪の毛を青いテープのようなもので縛っていた。



たまに冷たい風が吹いたりすると、少女が震えて男性が近寄ってあげる。


そうして貰った少女は、嬉しそうな顔をして男性により近づく。


男性は恥ずかしいのか顔を背けたりするが、耳が赤く、少女はそれを見てくすくすと笑う。


笑われた男性は真っ赤な顔で振り向き、説得力がなさげだが何やら大声で怒っていたりする。


だが怒られた少女は笑って、また男性は顔を赤くする。



そんな、微笑ましい光景があった。


ちょっと、そんな二人を覘いてみましょう・・・。












Peace is feared.













「レーオ兄っ!」


「何だ?オリーヴ。」




レオ兄、と呼ばれた男性、レオニードはオリーヴと呼んだ少女を見た。


レオニードが見た途端、オリーヴはにこり、と笑った。



「えっへへーっ、今日は良い日だよね。」


「・・・・?」



いきなり良い日だね、と言われ、レオニードは理解が出来なかったのか、首を傾げた。


レオニードが首を傾げたのを見て、分からなかったか、と思い慌ててオリーヴは説明した。



「あっ、あのね、今日はいっつもヒイロが今頃はいるじゃん。」


「あ、ああ。」


「だからね、今日はレオ兄と好きな時間までずぅっと居られるから、良い日だよね、って言ったの。」


「そ、そうか。」


「・・・?」



嬉しそうに話すオリーヴとは裏腹に、何やらレオニードは少し暗い口調で話していた。


何故そんなに暗いのか、オリーヴは気になった。



「・・・レオ兄?」


「な、何だ?」


「・・・・・」



やっぱり、何かおかしい。オリーヴは直感でそう思った。


こうなったら理由を聞き出してみよう。・・・・・折角の良い日なんだから。そう思ったオリーヴは直ぐに行動を起こした。



「レオ兄ったら、何で今日はそんなに暗いの?」


「あ、いや、そうじゃないんだが・・・」


「嘘吐きっ!何時もだったらもっとレオ兄は明るくって面白いもんっ!」


「お、オリーヴ・・・」



いきなり彼女が怒った事に理由が判らなく、レオニードはただ驚いてしまった。今迄はこんなに怒ってしまう事は無かったというのに。


・・・何故なのだろう?と思った。だが此方とは正反対に、オリーヴの方は顔を少し赤くして怒っていた。



「大体レオ兄は私と居て楽しくないの?楽しくないんだったらそんな顔しないで、どっかに行っちゃえばいいじゃん!

私はねえ、レオ兄と楽しく過ごしたいだけなのに、なのに・・・・・、何でなの?何でそんなに嫌そうにしているの?」


「そんなんじゃない!俺は、その・・・」



どうすれば、上手く説明が出来るのだろうか・・・?と思ったのか、何やら口篭り気味になってしまった。


ちらっと困ったような顔をして彼女を見ると、やはり怒っているままで今度は先程と少し違い、顔を膨らませていた。



「ちゃんとした理由じゃなきゃ、私レオ兄のこと嫌いになるからね?」


「う・・・、ちゃんとした理由かまでは分からないが・・・」


「じゃあ、それでも良いから・・・言って?」



じぃ、っとオリーヴはレオニードを見詰めた。


見詰められて、よく判らない感情が溢れて来た。レオニードは鼓動が高まって行く事が判った。其れが判ると


同時に自身の顔も赤くなっていった。見詰められ、まるで時が止まったかのような感覚に陥った。



少しの時間(とき)だけではあったが、彼にとっては何故なのか、心地良かった。



ハッ、と気付くと、やはりまだ怒っている彼女の顔が目に入る。


慌てて答えを待っていた彼女へと理由を話す。



「・・・あ、あのな・・・・、俺は、唯、な・・・・」



やはり、何やら言い難い言葉なのか、口篭りになってばかりで言えなかった。


理由を一度に言えずに居た事に気付いたオリーヴは、どうしたんだろう・・・?と心配そうな顔をした。


レオニードは、また心配された事に気付き、今度こそ言って安心させなければ・・・。そう思った。


ふぅ、と呼吸をして、心を落ち着かせ、もう一度口を開いた。



「唯・・・・・、ヒイロが来てまた、何時ものように殺されそうになりそうで・・・怖かっただけなんだ・・・」



その理由を聞いた彼女の第一声が、・・・・・え゛?だった。


そう言うのも無理も無い。考え付いていた事の一つでもあったのに、まさか本当にそういう理由で


あった、という事だったのに唯、驚いてしまうしかなかったのであった。



「・・・あ、あの、まさか・・・・・、レオ兄って、そういう理由で暗かったの・・・?」


「・・・ああ。・・・・・言っている本人の方も恥ずかしい理由で言い出すに言い出せなくってな・・・・・」



はぁ・・・・・、と冷汗をかきながら言っているレオニードを見て、オリーヴはくすくすと笑い始めた。



「なっ、何で笑うんだよ!?」


「くすくす・・・・っ、だ、だってえ・・・・、面白いものは、面白いんだもんっ・・・くすくすっ・・・・」



くすくす、と暫く彼女に笑われ、何を言い訳にすれば良いのかレオニードは判らなくなってしまい、


唯顔がますます赤くなって行くだけであった。



「う・・・・。と、兎に角・・・さっきまでの俺の態度は悪かった。スマン・・・」


「うん、いいよっ。・・・でも、くすくすっ・・・・・」


「い、いい加減笑うな!」


「だってえ・・・・っ、くすくすくすっ・・・・」


「だああ・・・・・」



もはや笑い続けている彼女に言い返す気力も無く、赤面を隠すように下を向いてしまった。


下を向いた彼にくすくすと笑いながら彼女は軽く抱きついた。



「っ、おい、オリーヴ・・・」


「今日くらい、良いでしょ?」


「っ―・・・、好きにしてくれ。」


「そうするっ!」



オリーヴは先程よりもぎゅ、っと抱き付き、耳まで真っ赤になっているレオニードを見てまたくすくす、と笑った。


そのまま二人は、二人っきりの時間を過ごして行った・・・。













そして、レオニードが気にしていたヒイロの方では・・・



「だああああああ!!アデル!いーかげんアイテム界から出させろお!!」


どうやら、アイテム界に居る様であった。


「仕方ないだろ?魔王の鎧を強化して、アルヴァに渡すんだから・・・」

「まあ、唯でさえDEFが弱い奴の為じゃ。辛抱せい。」


そう言って来たアデルとロザリーの言葉に、何か納得出来なかった。


「・・・あたし、出る。」

「え?」

「あたしは出る!こんなゴチャゴチャな敵とかばっかりしか居ないこんなトコなんかさっさと出る!!」


そう叫んで言っているヒイロの声には、怒りが込まれていたのであった。

そしてアイテム袋に手を入れ、ごそごそと音を立てながら探し始めた。


「お、おい、待て、ヒイロ!!」

「ま、待てい!ヒイロ、敵が来ておるぞ・・・・!!」

「っ!?」


魔物がヒイロの背後に高台から降り立ち、攻撃を仕掛けて来ようとした。やられる!?と、ヒイロが思ったその時であった。


「邪魔ッス!!」


声と共に、ヒイロの背後に降り立った魔物に、プリニー族のみが使える技、プリニー連射が飛んで来た。

その攻撃はヒイロには一撃も当たらずに、背後の魔物のみに全て当たり、その魔物は倒れた。


「・・・え?」


恐る恐る後ろを振り向くと、此方を襲って来たと思われる魔物は倒れていた。前を向けば、丸っこい青い物体、プリニーの

クロートが居た。だが、先程の魔物は魔人ランク程。それを一撃でクロートは倒したのである。それを考えたヒイロは、

一体、コイツはどれ程の力を持っているんだ?と思い、冷や汗をかいた。


「ふう、大丈夫ッスか?」

「クロートだったのね・・・。アリガト・・・。」

「礼は要らないッスよ。オレは自分で勝手にしただけなんだッスから。」


”勝手に”。その言葉が何かヒイロには引っ掛かった。それに、何で普段ラナ嬢の付近に居たりするコイツが何故、

あたしを助けたんだ・・・?ヒイロはそれが一番気に食わなかった。


「・・・アンタ、カッコ付けてる?」

「いやいや、そんなカッコ付けなんてしないッスよ。あと、礼を言われても、どうせ・・・デールは無いんッスから。」

「・・・はあ?」

「ぎくり。」


ぎくり、と言った本人、アデルは何やら冷や汗をかいて、此方へと来たノートリアスの魔物を殴った。


「・・・・最初(ハナ)から帰させないつもりだったのかテメエはあああああ!!!」

「ま、待て、これは本当に忘れただけで、それにアイテム係は今日は俺じゃない・・・!」

「・・・ごめんなさい・・・。」


と、何やら銀河魔法使いの少女、ラナ嬢が近くに来て、少し小さな声で言った。


「・・・ら、ラナ嬢?・・・あ、そういえば、ラナ嬢が・・・、今日のアイテム係だっけ?」

「・・・うん、ごめん・・・。まさか、帰りたいという人が居るかとは思っていたけれど、わたしの不注意だから・・・」


何時もの負けん気な性格の彼女からして見れば、本当に申し訳なく言っているようであり、ヒイロは一瞬

戸惑ってしまった。


「・・・あ、良いよ、それなら・・・。あたしもガマンする。こっちこそゴメン・・・。」


その言葉を聞き、ほっ、とした人が一人と、ぺこり、と礼をして先程よりも安心はした表情をした人が一人出た。

だが、ヒイロは思った。・・・何だか、几帳面なラナ嬢が忘れるなんて、誰かが仕組んだようにしか思えないのは何でだろう・・・?

・・・まあ、主犯となるのは、アイツしか居ないな・・・。そう、思った。




「・・・実はワシが取ったのじゃがな。」


そのヒイロの思った事がまさかであり、犯人の最年長者、ウォルドーは呟いた。

隣に居た魔法剣士の炎璃はその言葉が聞こえたらしく、呆れて溜息をついた。


「ねえ、ウォルドー・・・、それがラナ嬢に聞こえたら怖い事になるから、もう口に出さないで・・・?」

「うむ。ワシの今の言葉は聞かなかった事にしてくれぬか?」


そう言われた炎璃は、はあ、と溜息をまたつき、苦笑いをした。


「・・・そうする。いくら薬剤師でもそんな誤魔化せるような薬は、まだ作れていないしね。」

「・・・お前は、何を一体しておるのじゃ・・・?」

「製薬しているだけな少女です。」


にこり、と笑って炎璃は言った。が、ウォルドーは何やら意味有りな発言にしか聞こえなかった。

いや、何かあるな、としか思えない。


「・・・・・・。(ワシは何か恐ろしいものを見てしまったな・・・・」






我侭を言ったばかりに複雑な心境になった人が居たり、


また我侭を言った人を抑えるのに少々苦労してしまったりする人が居たり、


何やら恐ろしいものを見てしまった人が居たり。




そんな人達の事など知らず、アイテム界へと行かなかった、レオニードとオリーヴ。



二人は顔を赤くしたり、笑いあったり、また抱き付いてきたりする方がいたり、と・・・。




知らない二人は、久しぶりの、いや、初めての休日を共に過ごす事が出来たのであった。








そして、心地良い風が、草原に仲良く並んで座っている、二人を包む。










(管理人の戯言/笑)
雫 沙菜様より、キリ番900を踏んで頂きましたv(まあ正確には900+αだけどねゴニョゴニョ…
沙菜さんのところのメイキングの侍盗賊で、邪魔者が入らず水入らずでラヴラヴになっている…(しかし侍さんはへたれ)という
妙に細かくて難しいリクエストをしてしまったのですが、こんな素敵な小説を下さいまして有難うございます…!!
侍さんがへたれです、へたれすぎて堪りません、好きにしてくれ、なんて言われたらへたれすぎて萌え死にます(落ち着け
沙菜さん、本当に有難うございましたv御馳走さまでしたふふふv(あやしいよ



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