木漏れ日の下で
あれ?
またヒルダがいない……。
「なあ、ヴェイグ。ヒルダは?」
「…ああ、さっき買い物に行ったみたいだな。」
…ふーん。
「あ、俺も夕飯の買い物があったんだった!ちょっと行って来るな!!」
俺はダッシュでその場を去った。
「ティトレイってば嘘ばっかり、ネ☆」
「…マオか。…まあ…いいんじゃないか?」
「…はぁ、はぁ…何処だ?」
俺は町中を走り回り、彼女を捜す。
彼女はいつも一人でいることを好み、気がついたら…消えてしまうかもしれない。
それが、俺にとっては…すごく怖いことなんだよな。
この気持ちが何なのか、まだよく分からない。
でも、悪いものじゃないって俺は…思う、多分。
「…何やってんのよ、あんた。」
え?
「ヒルダ!?」
どうして後ろにいるんだ?
「あんたが私の前を走っていったのよ。」
あ、そう…。
通り過ぎてたか…はは。
「…で、何やってるの。」
それは俺の台詞だって!!
「ヒルダこそ、一人で何処に行ってたんだよ。」
「…なんでそんなこと、あんたに言わなければならないのよ。」
…あ、いや…それもそうだけど…。
「しょ、しょうがねーだろ!!…ひ、一人じゃ危ねーだろ!」
「…はぁ。ガキじゃないんだし、買い物くらい一人でできるわ。あんた、馬鹿じゃない。」
…うう…。
気になったものはしょうがねーだろ!!!!
「…何?私が何処に行こうが、全部いちいちあんたに報告しなきゃいけないわけ?」
…そ、それは…。
「…本当に、あんたは馬鹿よ。」
…馬鹿でもなんでもいい。
ああ、俺はどうせ馬鹿さ!!!
馬鹿だから、気になるんだよ!!
「ティトレイ。」
「…なんだよ。馬鹿に用があるのかよ。」
「…ええ。馬鹿にしか言えない用よ。これからぶらぶらと街を見て回るから、買い物の荷物もちとしてついてきなさいよ。」
…それって…。
「しょ、しょうがねーな!つ、付き合ってやるよ。」
「…なら別にいらないわ。」
「…一緒に行かせて頂きます…。」
「…最初からそういいなさいよね。時間の無駄だわ。」
どうして俺はこいつが気になるんだろう…!!
こうも高飛車で、人使いが荒くて…。
俺には自分が到底理解できない。
どうしてこんなにも気になるんだろうと…。
「ちょっとティトレイ。これ買うから。」
「へいへい…って、これなんだよ!!」
「見て分からないの?超特大水晶球よ。」
特大って…かなりでかいぞ!!1メートルくらいか!?
こんなの占いに使うのか!!?
「…くす…冗談よ。あんたがどう反応するかなって思っただけよ。」
…こいつ…。
「こんなに大きいのなんていらないわ。私にはこれだけがあればいいもの。」
そう言うとヒルダはカードを取り出す。
幼いころからずっと持っていたという…タロットカード。
いつも肌身離さず持っていて、彼女の一番大切なものだといえる。
「なら、言うなよな。」
「聞こえなかったの?あんたの反応が面白そうだったからよ。」
…む〜〜〜。
「…ん?」
なんか遠くで…光ってる??
なんだ?
敵か!?
気になる!
すごく気になる!!
「ヒルダ!!向こうの林に行こうぜ!!なんか光ってる!!」
「…あんたは光物に弱い子供?でも、あれは…何かしら…。確かに光っているけど…どうでもいいものじゃない。わざわざ行くことはないわよ。」
「ほら、ヒルダ!!」
「…だから…あんた、人の話聞いてる?」
ああ、もう!!じれったい!!
俺はヒルダに近づいて、小さく「悪りぃ」と言う。
「ちょ…ちょっと!!」
騒ぐヒルダを無視して、ヒルダを持ち上げる。
そう、いわば「お姫様抱っこ」。
あまりにうるさいから、持って行こうと俺は思った。
「ちょっと!!おろしなさいよ!!」
「少しの辛抱だろ!?振り落とされるからしっかりつかまってろよな!」
「きゃ!!」
走り出した俺に、ギュッとヒルダが俺に捕まる。
…柔らかな感触に少し戸惑いながら。
「お、おろしなさい!!!!」
俺はとにかく無視して、走り出す。
気になるもんは確かめたいし、いいものだったら…ヒルダと見たいし。
とにかく、気になるものはしょうがない!!
俺がヒルダを気にしてしまう理由も分かるかもしれないだろ?
だから、思ったら即行動!!
「もう!!ティトレイ!!!!」
林の中に入ると、ヒルダは静かになった。
いや、俺に抱っこされていることより、周りを気にしていた。
日差しが草木の間から零れる。
まるで光のシャワーを浴びているようで、すごく心地がいい。
とりあえず俺は前に進むと、一つの光る物体を目にした。
俺はヒルダを下ろし、ヒルダはそれに見入った。
「…これは…水晶球ね。どうしてこんなところに…。ん?何か…文字が…『ここに訪れる者に、幸せを』…何それ。」
へ〜…幸せか。
いいじゃん!!
「…なるほどね。これの事なのね…。」
え?何が?
「さっき街の人から聞いたのよ。この地の林に大きな水晶球がある。それは何も映してはくれないけど、祈った人を幸せにしてくれるって。でも、誰が置いたかはわからないし、いつ置かれたのかも分からない変な代物だそうよ。」
すっげぇじゃん!!
「なあ、ヒルダ!!じゃあ祈ろうぜ!!」
「…あんた、馬鹿?どうしてこんな誰が置いたかもわからないものに祈らなきゃいけないのよ?」
だってよ、幸せになるんだろ?
「幸せは自分で手に入れるもんだと俺も思うけど、少しは頼ってもいいかなってさ。」
幸せは一人じゃ手に入らないしな!!
「…はぁ。あんたらしいわね。」
え?
今…笑った?
「早くしなさいよ。…私も祈ってあげるから。」
「ああ!!!」
木漏れ日の下、俺たちは祈る。
これからの俺たちを…。
後から聞いた話。
あの水晶球は…縁結びの水晶球だったそうだ。
…祈った二人の縁結びの…。
それを聞いた後、ヒルダは何も言わなかったけど…。
とりあえず、今はそれでいいよな。
うん、俺たちにはまだやることがあるし。
今は、このままで…。
(管理人の戯言/笑)
sakura様から、日頃のお礼にとこんな素敵なティトヒル小説を頂いてしまいました!
寧ろ私がお礼を言うべきなのですが(あ)
ヒルダ大好き!なオーラで満杯の(笑)ティトレイと、お姉様ヒルダに最初から最後までときめきっぱなしでした。
お姫様だっこされて、思わずティトレイに頼っちゃう姉様がたまらなすぎて萌え萌えですハァハァ!!
しかも、水晶だとかなんてロマンチックな…!v素敵なアイディアに惚れ惚れします。
こ、これは将来ティトレイとヒルダがくっ付くと思っていいんですよね…!!(え)
こんな素敵な小説を有難うございました!大切にさせて頂きます…!!
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