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屠殺の園

屠殺の園
[Amazon.co.jp]

個人的評価
★★★☆
制作
発売日
ジャンル
対象年齢
対応OS
価格
備考
Catear
2007年04月27日
ノベルADV
18禁
Windows98/98SE/2000/Me/XP
2,700円(税込2,835円)
CV無
シナリオ:HAIN
原画:来夢来夢
音楽:さっぽろももこ

 屠殺の園と呼ばれる練兵場から、数多のヒロインが闘争の最前線を駆け抜ける―――。時代背景も舞台設定も、何もかもが不明瞭なまま見せつけられる、ことごとく不確かな世界。シナリオは、まるでメタファー越しに詩が連鎖というか、要は一見わけがわからない。卑語にまみれるだけかと思いきや、韻を器用に組み込んだ節々は、意味と意義を如何様にも受けとれる抽象的な響きを持ち、見た目よりも読みやすく、しかし後々ズシンと残る。ゲーム内の会話はやがて独白に、独白はいつしかプレイヤーとの対話に、あるいは侵食へと姿を変える。とはいえ、本作の場合、裏に込められたテーマを何となく嗅ぎ分けることができれば、それで充分じゃないかとも思う。総プレイ時間が短いにも拘らず、読み終えたときは脳みそが少し重たくなっていました。

 単なる性行為の表現が、言葉遊びのように手を変え品を変え、延々と続けられるうちに、読み手のみならず作り手へも向けられた、本作の姿勢が浮かび上がってくる。エロシーンを含め性倒錯状態がデフォであり、卑語連発の割に淫靡な空気は薄い。主題の伝達はまんま、物語というより登場人物自身が請け負っているわけで、その手段はまさしく直球である。いきすぎ&やりすぎはよくないよ、それは本質を狂わせる悪夢だよ、という警鐘を孕んだ皮肉。肯定と否定と礼賛と戒厳を同列に語っては積み重ねる言葉の群れは、理論より直感、考察よりもむしろ想像力の豊かな人にうってつけ、かもしれない。まだなぞなぞを解くような気持ちにあった前半で、印象的だった台詞は「蕩けさせて…飲み干そうとしてる…私の中…空っぽにしようとしてる…」でした。

 基本的には、登場人物による痴態と吐露が読み手の反応を試しつつ、一方で、双方の様態が徐々に意地悪く自覚を抉り出す、というか何というか。結末Cではっきりと「プレイヤー」の存在を認識した後、再び冒頭からプレイすることで、多くの疑問は解消されました。これはつまり、エロゲ市場において、大量に生み出される物語の中、エスカレートした消費の果て、異形の姿すら性欲の対象として弄ばれるヒロイン達の苦悩を描き、製作者は懺悔と祝福を捧げ、ユーザーにはそんな彼女らを思いやってほしいと願う、だから「賛歌と鎮魂歌」なのですね。変わり果てたツバキの姿に痛烈な自己批判を、そして、ヒロインとして出荷されるのではなく、自ら物語を綴ってやるんだと逃げ出すシャムの姿に矛盾した思慕を、製作者の叫びを見た気がした。

 卑語淫語を売りにしているだけあって、凄まじい勢いで卑猥な台詞が繰り出される。「ふたなりち×ぽに詰まってるエロミルク…搾乳しなくちゃ♥」とか。BGMは音源の作り方を安っぽく感じたものの、コンプリートする頃には、メインテーマっぽい「屠殺の園」が耳にこびりついて去らなかった。全5曲という少なさを忘れさせる演出。CG面は殊更チープな印象を受けるが、定価を考慮すれば仕方ないのかとも思える。チャート式ゲームシステムが特徴で、プレイヤーはいつでもどこからでも、好きなシーンを選び観察することができる。よって、無意味な分岐に悩まされることは無い。ツバキの姿を透かした、ステンドグラスのようなマップ画面は趣があって良い。コンフィグメニューは特に不満なし。オートセーブにつきセーブスロット皆無。ディスクレスプレイ可。

総評

 卑語の嵐に揉まれながら、作り手の訴えに責められる気分を味わい続けた、女装エロ形態アングラ小芝居。批判の対象から言えば、男性ユーザーのほうが構造を把握しやすいと思われる。それでも、人の心の純粋で捻くれた部分を測るものさしとして、また、性欲の異端モデルケースに張り巡らされた心理を映し出す鏡として、男女を問わず薦めてみたくなった。

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