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個人的評価 |
★★★★ |
| 制作 発売日 ジャンル 対象年齢 対応OS 価格 備考 |
郎猫儿 2006年10月27日 ノベルADV 18禁 Windows98/2000Pro/Me/XP 6,800円(税込7,140円) CV有、修正ファイル有 企画+ディレクター:由良 シナリオ:長野和泉 原画:唯月一 音楽:あるるかん(drops tone) |
※修正ファイル(Ver 1.0.2)を当てた状態でプレイしています。
年に一度の村祭りの夜。喧騒の中を一人歩くディックに、ピエロのような格好をした少年・ギュレッドが問う。「こうは思ワナイ? 夜さえ明ケナケレバ、ずっとこの時間を楽シメるのに、ッテ。だから、行こうヨ。キミが、今のキミのままでイラれる国へ。ただ何も考えずに笑っていられる場所へ――」
『神無ノ鳥』のライター&絵師再び、ということで話題になった本作。“Laughter Land”と呼ばれる世界へ飛ばされた主人公・ディックは、着いて早々ギュレッドに置き去りにされ、森に迷い込んだところでロディと出会い、さらに彼の紹介でヨアンと知り合います。この世界の住人は、何故かギュレッドが連れて来た「少年」ばかりであること。そして、ギュレッドによって埋め込まれた「アライメントジェム」が身体に馴染んでくると、ささやかな願いなら何でも叶う不思議な力が身に付くことなどを知り、ディック自身も少しずつ、この常識はずれのルールに慣れていく。ラフターランドの少年達は皆、この力を使って、自由気ままな生活を送っているわけです。だけど、何でも願いが叶うだなんて、そんなうまい話はない。知らないうちに代償を支払わされているんだよ、というのが序盤のあらすじ。精神の未熟がいかに他者を踏みにじる嗜虐性に満ち、同時に、いかに脆く儚いものであるか、という視点から、誰かにとっての“幸せの国”を描く物語。
プレイヤーはディックとして、ジェムの力を使ったり使わなかったりしながら、ラフターランドでの日々を過ごしていきます。あちらを立てればこちらが立たずな幾つもの岐路や、個別シナリオが絡み合ってようやく真相に辿り着くといった工程は、まさしく神無の系譜であると言えます。多くのルートに標準装備されている、まで一緒。ただ、世界観に関する描写はやや断片的なため、言葉の端々や背景等から想像を膨らませ補填しないと、物語に説得力を見出すことは難しいと思われます。また、鬱展開の割に軽薄な表現が頻出し、話の内容を噛み砕くと、あまりの救いの無さに胸糞悪くなりました。テキストの質は不安定で、漫画的な、悪く言えば短絡的な言い回しがポロポロと顔を出す。ストーリー全体を俯瞰しても、テーマの重心が定まっておらず、プレイ後に確固たるイメージを残しにくい。既存の作品の影響が色濃く見てとれたり、細かな不満は枚挙に遑ないものの、次々と現れる伏線が気になって、いつの間にか最後まで一気にプレイしていました。
テンポ自体は悪くなく、とりわけ音楽にプレイ感を助けられました。トマやグレッグの三枚目な言動は、喜劇的スパイスを振りまき、日常シーンに刺激を与えるという点で、エンタメ目線での重要な役割を担う。個別エンドは時にBADと見紛うやるせなさであり、万事解決のハッピーエンドは皆無なものの、全てが丸く納まらないまでも様々な道があるという余韻は、ゲームでなければ叶わない楽しみ方。「変わり始める世界」は最終シナリオとしての纏めにつき、カタルシス増幅のためにも、事前に(ギュレッドを除く)全キャラクターを攻略し、彼らの過去を把握しておくことを勧めます。エピローグは、一見ようにも見えますが、ことから、これはであり、だ、と考えるのが自分にはしっくりきました。いずれにせよ、この幕引きが、であったことを示すようにも思え、考え出すと凹み必定。
大量の選択肢はバランス良好、ほどほど難易度によりゲーム性の面から娯楽をもたらす。攻めも受けもこなすディックは、和姦もいいけど女装凌辱スカに存外萌えた。Hの短さ及びCGの汁気の無さが非常に不満。との強姦シーンは、無くてもさほど穴にならない微妙なつくり。ボイスは聴きどころで、オカマほうきトマ(CV:ヘルシー太郎)とお調子者グレッグ(CV:鳥海浩輔)は、中の人がノリノリ。はじめ表情とのギャップに戸惑ったロディも、慣れるとその初々しさこそ可愛いのだし、ギュレッド、ヨアンもハマり役。BGMでは「FOREVER AND EVER」と「A TRUE FRIEND」が印象強い。前者は、某ディ●ニーのパレードを彷彿とさせる、壮大かつワクワク感を呼び起こすようなOP曲。後者は、珍しくはないメロディながら、あざといほどに「泣かせ」のツボを突いた音作りになっていて、クライマックスでの定番曲。原画はデッサン崩れが目に付く一方、絶妙な表情も少なくない。立ち絵の描線がクリアでないような。コンフィグ普通。ディスクレスプレイ不可。
『神無ノ鳥』と比べて、ストーリー構成は長所も短所も受け継ぎつつ、世界観の奥行がダウンし、テンポの良さとエロの幅がアップした作品。ダークファンタジーとして伏線を回収させながら、切なくもやるせない結末の数々がプレイヤーのプラス思考を減退させること請け合い。最終シナリオのエピローグは一見して反則/手抜きとも映りますが、マイナスに解釈すれば神無の比ではない不幸のどん底。ある意味、徹底しています。